デジタル法に思う

このタイトルで何人の人が読む気になるだろうか?

しかし、大胆に要約して、いくつかのポイントだけを分かり易く解説するので我慢して読んでください。

今国会で審議中のこの一連の法案は、デジタル社会の形成が経済発展に役立ち、国民の利便性を向上させるとして、その担い手としてデジタル庁を設置し、

デジタル社会形成のための立案、総合調整を行うことを目的にしている(「どこが分かり易くやねん」という声は無視して進めます)。

最初に、デジタル化とは、個人のあらゆる情報・履歴が記録されることであり、まさに個人の一挙手一投足が記録され、監視されることに繋がる危険性をはらんでいます。

この事実を前提に法案の問題点・危惧される点を指摘します。

 

第1点 情報処理の容易性と不可視性

 

デジタル改革の危険性はデジタル技術が原理的に持っている特徴、つまり、極めて簡単に膨大な情報の収集・管理・検索が可能な点にあります。これは勿論、生活上便利であることは疑いもないけれども、同時にそれは個人情報がネット等を通してビッグデータとして大企業や公権力に吸い上げられ、集積される危険性を伴います。

しかも、デジタル情報は電子的に高速処理されるため、人間の目には見えない。つまり、自分の個人情報が、どこで、誰から、どのように収集・処理されているか分からないのです。

 

第2点 デジタル庁の性格が悪い

 

デジタル庁設置は単に一つの庁が増えるということではありません。

法案では「必要あると認めるときは、関係機関の長に対し、勧告することができる。関係機関の長は、勧告を十分に尊重しなければならない」とし、更に「デジタル庁の長は内閣総理大臣とする」と規定しています。つまり、これより強力な官庁はないのだから、誰も逆らえない。

このデジタル庁がデジタル行政の司令塔として、これまでの行政の縦割りを打破して、行政の抜本的向上を図るとしている。

この極めて強力な機関が、国民の個人情報を収集・管理することの危険性は十分に認識しておく必要があるでしょう。

マイナンバー制度は、現在は「税と災害、社会保障」に目的は限定されていますが、例外規定もあるし、この目的範囲の拡大は法改正により容易です。

マイナンバーが個人のあらゆる情報(所得、病歴、読書傾向、性癖、支持政党等々)と紐づけされ、これを政府が合法的に利用できるようになれば、最早完全な監視国家です。しかも、デジタル技術の不可視性のゆえに、国民は自分が監視されている事実も知りようがないのです。

怖いですよね~

ちなみに、この法案が示す基本理念には「個人情報保護」の文言はありません。プライバシー権などの人権保障をないがしろにしたまま、個人情報の国家管理を進めるものと言えるでしょう。

 

第3点 個人情報保護法の一本化と治安体制

 

現行の個人情報保護法は、民間事業者、行政機関、独立行政法人の三本立てで個人情報を分散管理しています。

しかし、法案はこの3法を統合し、関係機 関が個人情報を容易に共有可能にしています。その結果、所得や医療、教育など膨大なデータが政府に集中し、国家による個人情報管理が進むことになります。

菅内閣は「誰一人残さない、人に優しいデジタル化」としていますが、これは「監視の網から誰一人取り逃がさない」ということでもあります。

この間、安倍前政権は、下記のような治安立法を国民の強い反対を押し切って成立させました。

(何が秘密かも秘密という)特定秘密保護法

(法制局長官の首をすげ替えて成立させた、憲法違反の)安保法制

(共謀罪・やっていない行為も犯罪とする)組織犯罪処罰法

デジタル関連法案は、それ自体は治安立法ではないけれども、個人情報を国家が一元管理してマイナンバー機能と一体化すれば、「治安体制」にとって不可欠な国民監視の技術的基盤となります。

 

第4点 個人情報保護委員会が脆弱

 

個人情報保護委員会が民間企業や公的機関全体の監督にあたります。しかし、その組織は委員長及び委員8人であり、デジタル庁の約520人との格差は歴然です。また、公表されている資料では、委員会は公的機関に対しては勧告権はありますが、民間企業に対して認められている「命令」を発することはできません。

委員会の独立を保障し、人員や予算を増やし、命令権限を認めるなど、チェック機関としての機能を強化すること必要です。

更に、デジタル庁職員の約20%(100人以上)は民間から採用する予定であり、しかも副業や兼業も認められています。国家の情報部門に関与できるのだから、

大企業が人材を派遣するのは当然です。まさに行政と企業の癒着と言うべきでしょう。

 

 

以上、やっぱり退屈だった?デジタル関連法案の話でした。

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武田 哲幸

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