原水爆禁止2018世界大会参加レポート

 2018年8月4日、5日、6日に広島で行われた原水爆禁止世界大会に参加した。

 73年前の8月6日と9日に、アメリカが広島と長崎に投下した原子爆弾は、両都市を瞬時に壊滅させ、人類史上最悪の惨劇をもたらした。いかなる理由があろうとも二度と核兵器を使用させてはならないとの積年の思いが、国内外から集まった約5000人が集まった会場に渦巻いていた。

 昨年7月7日、核兵器禁止条約が国連会議にて採択され、「核兵器のない世界」への歴史的な一歩となった。同条約の前文は、

『核兵器のあらゆる使用がもたらす破壊的な人道上の帰結を深く憂慮し、その結果として核兵器が根絶されることが必要であり、このことがいかなる状況であっても、核兵器が二度と使用されないことを保証する唯一の方法で在り続けている』と謳っている。

 核保有国は、核抑止力が世界の安定に不可欠だとして核兵器禁止条約を非難し、唯一の被爆国である日本に目を向ければ、アメリカの「核の傘」に依存し、議論することにさえ背を向けている。

 「核兵器は安全のために必要」「核抑止論」の論調も盛んである。しかしながら、その議論への支持は、核保有国とその同盟国にとどまっている。核兵器の使用を前提とした「核抑止論」などに未来はなく、人類発展の歴史からも逆行するものである。

 本大会は、核兵器禁止条約を一つの大きな光として、条約発効への道筋を確認すると共に、大小問わず連帯した運動の必要性を問う大会であった。

 最後に、核兵器禁止条約採択の意義について、箇条書きでいくつか付け加えておきたい。

1.この条約は、史上初めて核兵器を完全な形で禁止し、その廃絶への道筋を示した。
 この点が、核兵器不拡散条約(NPT)や包括的核実験禁止条約と根本的に異なる。

2.核兵器保有国はこの条約の決議に参加していないため無意味との批判がある。
 しかし、非参加国への法的拘束力はなくても規範的効力がある。そして、NPTは、5大国に核保有を認めており、それにより核の保有が謂わば「大国の証」「力の象徴」となっている。
 一方、核兵器禁止条約は、核兵器を悪質で非人道的な兵器と位置付けた。核兵器は「力の象徴」から「恥の象徴」へと認識が変わったのである。そのため核保有国は、その正当性を叫ばざるを得なくなった。

3.この条約を通じて、「核兵器は悪」との認識が世界での常識となりつつある。
 世界はこれまで生物化学兵器や地雷などを非人道的兵器として禁止する条約が作られてきた。核兵器がこれに加わったのである。

 なお、条約の意義については、下記(情報労連HP)が詳しいので参照されたい。
 http://ictj-report.joho.or.jp/1805/sp01.html